キャリア形成・両立支援

研究支援員制度インタビュー vol.2

Interview with 研究支援員: 宮本 佳奈(みやもと かな)さん

どのような支援をしていますか?支援している内容を具体的に教えてください。

主に、研究室の学部生へのサポートを中心におこなっています。具体的には、研究室の学部生が研究に行き詰った時に話を聞いてアドバイスしたり、資料や論文検索の方法を教えたり、また、学部生からデータがあがってきたときに、どの様に処理したらいいのか、一緒に議論したりしています。また、倉田先生が学部で行う授業のサポートもしており、学生から提出されたレポートの体裁のチェックなどをおこなっています。忙しいときもありますが、楽しく支援活動をしています。

ご自身の研究分野について教えてください。また、将来どのような方向にすすみたいですか。

本学の教育学部に在籍している時から継続して、絶滅危惧種の保全、特に遺伝子を使った研究などを行っています。現在、サクラソウの仲間で武甲山(埼玉県)の固有種「チチブイワザクラ」を研究しており、この植物を自生地へもどしたいという思いで、活動、研究をしています。今は、学内で支援活動や実験などを行い、時々フィールド調査に行っているのでとてもバランスよく活動できていると思います。将来についてですが、中高の理科の教員になりたいと思っています。ただ、研究もすごく楽しいので少し悩んでいるところです。

宮本 佳奈(みやもと かな)さん(教育学研究科 教育実践専攻)

R1 秋学期 , R2 春学期・秋学期において、研究支援員として活動


支援員をしたことで、ご自身の研究に活かされた点などはありましたか。

自分の研究は、絶滅危惧種のことが多いのですが、いろいろな学生と様々な話をするなかで、絶滅危惧種以外の、身近な植物に目を向けることの大切さに気づき、自分の研究テーマ以外の知識を増やすことが出来ました。また、研究室の学部生と一緒にフィールド調査に行くなかで新しいテーマが見つかることも多く、それを次の学年へ紹介し、繋げることも出来ました。

研究支援員制度について、何か改善して欲しい点はありましたらお聞かせください。

特に改善してほしい点はなく、制度については満足しています。

Interview with 研究者: 倉田 薫子(くらた かおるこ)准教授

先生のご専門や研究内容についてお教えください。

専門は、植物の系統分類、生物地理といわれている分野になります。例えば、「絶滅危惧種」でいえば、 その種が、どのようにその土地にはいり、他の種から種分化を遂げたのかということを、DNA を使って解析をしています。またその近縁種が日本中に散らばっているので、その系統の関係に関する研究や、植物自身がどのようにして分布域を獲得してきたかなどの研究をしています。以前、研究のため、1 年間、ガラパゴスにいたことがあります。ガラパゴスは動物が有名ですが、植物も同じで、すごく特殊で固有種化しているものが多く、その植物の祖先種がどうやって渡ってきたのか、いつの時代にやってきたのか、基のものからどのように分かれたのかということを解明していく研究をおこなっていました。以前は、海外での仕事が多かったのですが、今は国大に在職していることもあり、身近な神奈川県や先程話にでた武甲山が研究の中心となっています。また、いままでメインではやっていなかったのですが、学生のテーマを考えるにあたり、植物をいろいろな角度からみる意味で形態的な接点を作り観察をしたり、植物がどのように1年の生活史をまわしているのかなど、生態学的な事柄を地道に観察することも取り入れています。

倉田 薫子(くらた かおるこ)准教授(教育学部 学校教育課程
理科教育) 京都大学人間・環境学研究科博士課程 修了


専門:植物地理、植物系統分類、生物多様性保全
2012年4月~ 横浜国立大学 教育学部 学校教育課程 所属


研究支援員制度を利用したきっかけをお聞かせください。

最初は妊娠中に、旧・男女共同参画推進センターで代替非常勤講師の支援*をしていただのがきっかけです。出産後に「研究支援員制度」をご案内いただき、利用することにいたしました。現在、ふたりの子供の育児をしているので、継続して利用させていただいております。 *妊娠期の女性研究者が体調不良などで講義が実施できなかった場合に代替非常勤講師にかかる経費を支援する取組。

支援員にどのような支援してもらっていますか。

主に、研究室の学部生4名のサポートをしてもらっています。学部生がデータが出た後それをどうしたらいいのか分からない時や、文章作成などの作業をする際、先に宮本さんに相談にのってもらい、ある程度形になるよう指導してもらっています。学部生との間に入ってサポートしてもらっているので大変助かっています。私にとって、宮本さんは企業でいう中間管理職のような、なくてはならない存在です。

研究支援員制度を利用されていかがでしたでしょうか。

制度を利用することにより、まとまった研究時間が取れるようになりました。育児中は、特に最初はフィールド調査に行くことも難しかったですし、なかなか手が回らないことが多かったのですが、 支援員に学生の実験指導やデータを精査してもらうことで時間ができ、大変助かっています。また、やる気のある熱心な宮本さんが常に研究室にいること自体が、他の学生のお手本になっているので、その意味でも非常に有難かったです。

今後、この制度について改善して欲しい点などありましたらお聞かせください。

改善してほしい点は特にありません。支援員は教育学研究科の院生ですので、いろいろな学生に接し「教える」ということ自体がキャリアになります。そして、その事が研究にも活かせるので、教育という点においても、とてもよい事だと思います。

Interview後記

倉田研究室は、理科教育ということもあり、教育学部のイメージとは異なり、実験器具や実験機器に囲まれていました。インタビューでは、倉田先生がとても宮本さんを信頼し、頼りにされており、また、宮本さんも倉田先生を尊敬していることが感じられました。倉田先生、宮本さん、ご協力いただき誠にありがとうございました。

トップへもどるボタン。